中国人妻の徒然草

渋谷に住む中国人妻、慶應出身。2011年大震災直後に来日、2019年1月に一般日本人男性と結婚。

いわゆる、「女性でも」ということ

2011年に留学生として来日して、最初に妙に感じた言葉はこの一つ。

 

「女性でも」

 

小おしゃれのお店をテレビで紹介されたら、必ずこの言葉が出てくる。

 

「女性でも入りやすい。」

 

特に、ラーメン屋さんや、居酒屋などのお店ならそうなっている。

 

また似ているのは、「女性に大人気」、「女性が喜ぶ」などもある。

 

最初はこの言葉に対する違和感はどこから来たか分からなかったが、はじめて牛丼屋さんに一人で入って、なんとなく分かるようになった。

 

入った瞬間、店内で必死に牛丼を食べてるお客さんが全員パっと顔を上げて、驚いたように私に視線を集中しているからだ。

 

店内のお客さんは、全員男性だった。

 

私は、あの牛丼屋さんにいるべきではない、と言っていたようだった。

 

その後知ったのは、「女性らしさ」という言葉だ。

 

女性は、きちんとした化粧とヘアセットして、毎日綺麗な服着て、少し高いがおしゃれな店でハーフサイズで必ずサラダとデザートが付いてるランチを食べる、特殊扱いが必要な生物だ、と聞かされてるような。これこそが社会全体が期待している「女性らしい」姿なのだ。

 

なので、飲み会の時は女性が料理の小分けやドリンク注文の役割を果たすべきだ。なので、女性は当たり前のように男性にお酒を注ぐべきだ。なので、焼肉食べたら、女性は手の不自由がない男性のために肉を焼くべきだ…なので、女性は「見られる」側として、いつでも「見る側」が喜ぶように、本来の自分を隠すべきだ。

 

…色々な「べき」論に、やがてうんざりしてしまうようになった。

 

そもそも、「女性らしさ」とは何だろう。○○人みたいな言葉と同じく、一種のステレオタイプ、そして勝手な期待と先入観に過ぎないと私は思う。

 

男性でも女性でも、その前に同じ人間であることは間違いがない。同じ人間であれば、だるく感じたらリラックスして化粧したくなかったり、お腹が空いた時に入りたい店で食べたいものを食べたりすることができる。それは、「女性だから」やりたいからではなく、「私」がやりたいから、それだけだ。

 

そういえば、最初に入った牛丼屋さんの話、その後どうしたって?

 

もちろん私は、肉汁満々の美味しい牛丼を、温泉卵も追加してパクパクと大口で完食したよ!