中国人妻の徒然草

渋谷に住む中国人妻、慶應出身。2011年大震災直後に来日、2019年1月に一般日本人男性と結婚。

それはただの、自己満足?それとも…

出身校の慶應では毎年、別科・日本語教育課程などに在籍している留学生が参加できるスピーチコンテストが開催される。

 

別科時代、一度参加しようかと思ったが、時間調整ができてなく諦めた。それから一度も実際聞いたことなかったが、院卒後、偶然平日に空いてる日がコンテストが開催される日と重なったので、三田演説館へ向かい、後輩たちのスピーチを聞こうと思った。

 

テーマは、「母国に持ち帰りたい日本のもの」だった。

 


いや、実は前例のないこの酷いテーマ自身に最初から「なにこの自己満足」って突っ込みたかった。そもそもこれは、一種の罠に近いテーマ設置。ミスリードされて、安易に日本を賞賛し、日本と比べて自国を貶める傾向になるだろう。そうでなくただ日本を賞賛するだけなら、内容は表面的になる。でも、比較しても表面的な比較しかできなく、同じく表面的になるが…ずるい。

 


結局やっぱりそうなった。がっかりした。会場内に飛び交った「日本人は〜」「中国人は〜」「台湾人は〜」「ドイツ人は〜」、さらには「○○人全員は〜」などに深刻な無力感を感じた。なぜ演説者がそんなふうに言い切れるのだろう?だれがあなたに「私」を代表する権利を与えたのだろう?

 


少し、腹が立った。

 


私は何せよ世界主義者であり、普段生活にもなるべく「○○人」「××人」などの呼び名を使わないように気をつけている。なぜなら、それこそが国家意識となり、紛争を引き起こし、「他者」や「異端」などの差別を喚起する危険性があるからです。そもそも、同じ地球に生きる人類なのに、「○○人」などの、人工な国境による呼び方は本当にいいだろうか?

 


それにしても、スピーチ中にはいろいろなステレオタイプが感じられる。浅はか…私も浅はか人間だけど、あんなに表面的なステレオタイプを強めるスピーチテーマは、本当に存在していいだろうか?


別科時代、参加してなくてよかったと思う。少なくとも、参加しないことで、世の中のステレオタイプを少しだけでも減らせたなら、嬉しいなあと。